年内に家族に不幸があった年末と、翌年のお正月。
あまりお祝い事をしてはいけないんだろうな、とは思うものの、何がダメで、何が許されるのかわかりづらいところです。
今回は、クリスマス、大掃除、餅つき、正月飾り、鏡餅、年越しそば、おせち、雑煮、初詣、年始のあいさつ、お年玉、墓参り、どんど焼き、七草がゆ、鏡開きついて、
喪中でもおこなってよいのかダメなのかを、まとめてみました。
喪中と忌中とは?
まず、喪中と忌中の違いから説明しますね。
忌中は、神道では50日間、仏教では49日の法要までとされています。
この期間は、死のけがれがあるとされているので、神道の場合は、正月のめでたい行事は基本的にはできません。
仏教の場合は、初詣に参拝することができます。
仏教では、死は極楽浄土への旅立ちなので、神道とは考え方が違います。
喪中は、第2親等までの親族が亡くなった場合、おおむね1年間喪に服すというものです。
配偶者、両親、義両親が他界した場合は、約1年間。
その他の親族の場合は、3か月から半年とされています。
年末年始正月の過ごし方を詳しく教えて
では、喪中の場合は、どんな行事がダメで、どんな行事はOKなんでしょうか。
各行事ごとに、詳しく説明します。
クリスマス 〇
クリスマスはキリスト教の行事なので、おめでたいこととは関係ないのでOKです。
ただし、悲しみの中にある時には、クリスマスで浮かれた気分にはなれないかもしれないですね。
子どもさんが楽しみにしているなら、ちょっと涙を拭いて、一緒に楽しめるといいですね。
喪中であることは、きっとご近所には知られていると思います。
玄関のクリスマスリースは、止めておいた方がいいかと思います。
リースは、玄関のドアの内側に飾るといいですよ。
イルミネーションも、喪中の間はひかえた方がよいかと。
飾りつけは、家の中だけにしておくのが無難です。
お歳暮 〇
お歳暮は、お世話になった方へのお礼や挨拶の意味があります。
おめでたいこととは関係ないので、OKです。
ただし、紅白の水引や熨斗は避け、水引はなしで「お歳暮」として贈るといいです。
あ、紅白の水引や熨斗は避けると言いましたが、白黒や白銀の水引は×です。
お歳暮は、地域によって習慣が異なるので、贈るお店の店員さんに詳しく聞くといいですよ。
大掃除 〇
年末のすす払い、1年の汚れや邪気を払う行事です。
けがれや悲しみを払う意味でも、積極的に行いたいものですね。
とはいえ、悲しさが大きい場合は身体が動かないかも。
無理はしないで、ほどほどでよいと思います。
喪中に大事なのは、自分の悲しみに寄り添うことだと思います。
餅つき 〇
もちは、神様にお供えするものです。
また、もちは昔は贅沢品でしたが、今では普段に食べられるものになりました。
おめでたいこととは関係ないので、OKです。
ただし、餅つき中に紅白幕を張るのは止めておきましょう。
町内やご近所での餅つきに参加する場合は、紅白幕が張られていることも多いかもしれません。
その場合は、大人は遠慮して、子どもさんだけ参加するとか。
まだ一人では行けない小さいお子さんでしたら、大人は餅はつかず、子どもさんは餅つきしてもよい。
とされてはいかがでしょうか。
子どもさんがもっと小さくて、一人で杵をもてない場合は、一緒に餅つきされてもよいと思います。
お餅がふるまわれたら、遠慮するのもなんですので、それはいただいてもよいと思います。
正月飾り ×
止めておきましょう。
もう買ってしまったという場合でも、それは使わずに、神社やお寺に納めましょう。
来年に使えるし・・・
いえ、使えません。
まず、自然の物を使っているので、確実に痛みます。
もし傷まない素材だとしても、正月飾りには、1年の邪気や良くなかったことを流し、旧年中の無事に感謝し、新しい晴れやかな気持ちで新年を迎えお祝いする意味があります。
だから、毎年新しくするんです。
忌中は、神棚には半紙を貼り、扉も閉めておきます。
神棚のしめ縄は、忌中が明けてから取り換えましょう。
門松も、ダメです。
鏡餅
餅つきのところでもお話しましたが、餅は神様へのお供えなのでOKです。
ただし、紅白の水引をあしらったものなどは避け、あまり華美にならないようにするとよいと思います。
年越しそば 〇
年越しそばには、
・今年1年の災厄を断ち切る
・長生きする
という意味があります。
親族を亡くすということは、大きな災厄です。
この災厄を断ち切るという意味で、年越しそばは食べても大丈夫です。
というか、食べた方がいいです。
おせち △
おせちは、微妙です。
めでたいお料理
・鯛:「めでたい」のごろ合わせで、喪中のお正月には×
・海老:「腰が曲がるまで丈夫なので、健康で長生きを願う縁起物」なので×
・昆布:「よろこぶ」のごろ合わせなので、悲しみに暮れる喪中には×
・紅白のかまぼこ:紅白はめでたいことの意味なので×
喪中には、白のかまぼこだけにするといいです。
・伊達巻:知識をつける、伊達の意味から華やかさを表す。華やかという意味があるので×
・錦糸卵:白と黄色の二色は、「ニシキ(錦)」のごろ合わせで、これも華やかな意味を持つので×
・栗きんとん:富を表す縁起物なので×
・紅白なます:紅白はめでたさを表すので×
・お多福豆:福が多い意味になるので×
となるので、これらの料理は避けるのが無難です。
あとは、重箱も、「重なる」という意味になるので、使わない方がいいです。
今は、洋風おせちもありますので、喪中はそちらを利用されていはいかがでしょうか。
中学生以下の子どもさんが、楽しみにしているお料理があれば、鉢に盛って出してあげるのはセーフだと思います。
高校生くらいでしたら、喪中の意味を教えてあげてもいい時期だと思います。
お雑煮 〇
雑煮の意味は、ごった煮です。
お餅を食べてもよいし、今は雑煮も普段に食べられることもあるので、OKです。
ただし、紅白かまぼこや海老など、めでたい具材は避けましょう。
初詣 △
◆神社
神道では、死はけがれと考えます。
神社の場合は、神社ごとに決まりがあるので、境内に入ってもよいかどうか確認が必要です。
忌中が明けていれば参拝できる神社や、50日祭が終わっていれば参拝できる神社など二手に分かれます。
◆お寺
仏教では、死をけがれとは考えないので、お寺への初詣はOKです。
年始のあいさつ ×
「おめでとう」は言わないようにしましょう。
相手に、「あけましておめでとうございます」とあいさつされたら、
「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。」などのように挨拶するといいですよ。
でも、おめでとうと言われると、反射的におめでとうで返してしまうので、注意が必要です。
まあ、おめでとうって言ってしまっても、あまり気にしないでおきましょう。
年始のあいさつに伺ったり、来てもらう場合も、喪中である旨を伝えるとスムーズです。
特に、あいさつに来てもらう場合は、喪中を理由にお断りできるならお断りしてもいいと思います。
もし来てもらうことになっても、あまり華やかなお祝いは避けましょう。
お年玉 〇
子ども達が楽しみにしているので、無しはかわいそうです。
紅白の水引と熨斗がついてないポチ袋に入れるといいですよ。
墓参り 〇
ぜひ、行ってください。
故人も、喜ぶと思います。
悲しい気持ちを思い出すかもしれませんが、悲しい時には悲しみに思いっ切り浸ることが大事だと思います。
お供えのお花は、白い菊がおすすめです。
49日を過ぎると白でなくてもよいことになっているので、淡いピンクや黄色などもよいと思います。
本数は奇数で、花を生ける筒の大きさにもよりますが、ひとつの筒に5本くらいが適当だと思います。
時期的にお墓参りをする人も多いので、色々な花を組み合わせたセットも売られていると思います。
椿は、花がぽとっと落ちるので縁起が悪いとされています。
季節の花ですが、椿は避けましょう。
七草がゆ 〇
お正月のおなかの疲れを取ったり、一年の健康を願うものです。
おめでたいこととは関係ないので、OKです。
鏡開き 〇
お餅は、神様へのお供えで、そのお下がりをいただくだけなのでOKです。
どんど焼き 〇
昨年のお正月飾りやお守りを納める行事なので、OKです。
未使用のお正月飾りを持って行ってもいいですね。
喪中の過ごし方キリスト教と浄土真宗の場合
キリスト教の場合
忌中も喪中もありません。
死は、神の元へ帰るということです。
故人との別れは寂しいものですが、永遠の命を信じていますので、神の元での再会や復活があるので、死はけがれではありません。
ですから、年末年始お正月も、普通に過ごして大丈夫です。
とはいえ、キリスト教徒の少ない日本では、喪中に普段通りに過ごすのは気が引けます。
私は、無理です。
やはり、正月飾りは控えたり、おせちも洋風に変えたりすると思います。
あ、新年のミサには行きますね。
浄土真宗の場合
西本願寺や東本願寺に代表される浄土真宗では、喪や忌という考えがありません。
したがって、喪中や忌中もありません。
浄土真宗では、
死=阿弥陀様の元、極楽浄土で仏になる
ことを意味します。
あの世で幸福な仏として生きるわけですから、死はけがれでもなんでもなく、この世の苦しみから救われたと考えます。
喪中、忌中という考え方がないので、年末年始お正月も、普段の年と同じでいいんですね。
喪中の年末年始正月の過ごし方は正月飾りやおせちとお歳暮はどうしたらいい?まとめ
喪中は、第2親等までの親族が亡くなった場合に喪に服す期間です。
忌中は、神道では50日、仏教では49日までです。
喪中のお祝い事は、なるべく控えるのがよいかと思います。
と言いますか、祝う気持ちになれないというのが、私の正直な感想です。
両親を亡くした時、「正月なんか祝ってられるか、まだまだ悲しいんだよ」と毒ついてました。
反面、故人が大往生で苦しまずに亡くなった場合などは、また別なのかなと思います。
その場合は、家の中は年末年始らしくしてもいいのかなと感じます。
故人に思いを寄せつつ、新しい年を穏やかな気持ちで迎えられますように。
おしまい
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